ワーホリや留学で渡航先の国をカナダに決めた。
その次は、渡航都市選びで悩む人、多いのではないでしょうか。
「せっかく英語環境に行くのだから、日本人は少ない方が良い」
そう思って、日本人率の低い都市を探す方もいるでしょう。
そして、カナダの中でも日本人率が高いといわれるバンクーバー。
イメージや感覚で「なんとなく日本人が多そうだから別の都市にしよう」とバンクーバーを選択肢から外すのはもったいないです!
私はバンクーバーに1年半ほど滞在していました。
私がバンクーバーに渡航した経緯、いきさつなどは『27歳の私がカナダへのワーホリを決めた5つの理由とその結果得られた4つのもの』の記事で紹介しています。
その私が実際に感じた日本人の多さ。
そして、数値的に人口からの日本人率の高さを割り出し、カナダの他の都市と比較します。
この両方から本当にバンクーバーは日本人率が高いのか。
英語力を高めるのに日本人率が関係するのか。
主観と客観の両方から紹介します。
バンクーバーは日本人が多いのはホント?
ネットなどでバンクーバーの情報を調べると
「街中に日本人が溢れている」
「普通に日本語が聞こえてくる」
など、日本人率の高さが気になるという意見を目にします。
果たしてこれは本当なんでしょうか?
真相が気になるところですよね。
そこで今回は実際の数字を比較しながら、本当に日本人が多いのかどうか見ていきましょう。
世界各国で暮らす日本人の数
海外で暮らす日本人の数
まず、海外で暮らす日本人の数はどのぐらいなのでしょうか?
外務省の調査では、2021年10月1日の時点で134万4,900人の日本人が海外で暮らしていると発表されています。
※参照データ:外務省HP 海外在留邦人数調査統計より
山口県の人口が約134万人なので、かなりの人が海外で暮らしていることが分かりますね。
ちなみに、この調査に含まれる長期滞在者には、3ケ月以上滞在する留学生やワーキングホリデービザで滞在している人も含まれます。
具体的な人数
1 | アメリカ | 429,889人 |
2 | 中国 | 107,715人 |
3 | オーストラリア | 93,451人 |
4 | タイ | 82,574人 |
5 | カナダ | 70,892人 |
6 | イギリス | 63,653人 |
日本人が最も多く暮らしているのは、アメリカの約43万人でした。
カナダの約6倍もの日本人がアメリカで暮らしています。
ちなみに、留学やワーホリの渡航先としてカナダと同様に人気の高いオーストラリアは約10万人とカナダより日本人の数は多いという結果に。
バンクーバーで暮らす日本人の割合は?
カナダで暮らす日本人は約7万人。
カナダの人口が約3,700万人(2020年時点)なので、割合としては少ないです。
では、本当にバンクーバーの日本人率は多いのか。
実際の数値で見ていきましょう。
人口に対する日本人比の算出方法は、日本人数÷都市人口×100です。
日本人数 | 都市人口 | 人口に対する日本人比 | |
バンクーバー 都市部 | 26,885人 | 2,642,825人 | 1.01% |
トロント 大都市圏 | 16,589人 | 2,794,356人 | 0.59% |
カルガリー | 3,773人 | 1,306,784人 | 0.28% |
※カナダ各都市の人口はStatistic Canada Census of Population, 2021参照
※バンクーバーのみ統計の集計上‘バンクーバーエリアの人口’で表記
数値から見ると、この3つの都市の中で日本人率は確かにバンクーバーが高いですね。
日本人比が1.01%ということは、単純に計算すると日本人がいる確率は100人中で約1人ということになります。
100分の1。
これは本当に多いのでしょうか?
【結論】世界的に見ると、バンクーバーの日本人率は平均的
世界中のほとんどの都市に日本人は暮らしている
『在外公館別在留邦人数』では、世界中の約230都市で暮らす日本人の数が記載されています!
グローバル化が進む現代、世界中のあらゆる都市で日本人は暮らしています。
ちなみに、海外で暮らす日本人人口が最も多いロサンゼルス(67,107人)の場合、全体の人口(396万人)に対する日本人比は1.69%です。
ニューヨークやシドニーなどバンクーバーより日本人人口が多い都市でも、人口に対する日本人比は約0.6~2.0%程度です。
そうなると、バンクーバーの1.01%というのは世界的には平均的。
標準であることが分かりますよね。
では、なぜ「バンクーバーは日本人が多い」とよく言われるのでしょうか?
それには理由があります。
なぜバンクーバーは日本人率が高いと思われるの?
数字で見ると、バンクーバーの日本人率の高さはそこまで高くない。
では、なぜ「バンクーバーは日本人が多い」という声があるのでしょうか。
その理由を見ていきましょう。
環境や場所によっては日本人が集まりやすいから
バンクーバーは環境や場所によって日本人が集まりやすい状況があります。
実は、その特定の環境にだけ日本人が集まっているのにも関わらず、そこでのイメージがまるでバンクーバー全体が日本人が多いかのような印象になってしまいがちだからです。
具体的には以下のような環境があげられます。
1、語学学校
日本人が最も集まる場所になるのは、やはり語学学校です。
留学やワーキングホリデーで来た人の多くが、まず英語を学ぶために語学学校に通うところからスタートするのではないでしょうか。
カナダの西海岸に位置し、日本からも近く、治安も利便性も良いバンクーバーは英語を学びに多くの日本人がやってきます。
多くの語学学校がダウンタウンに集中しているため、朝の通学時間帯のダウンタウンでは学校に通う日本人をよく見かけることになります。
また、夏休みや春休みシーズンになると、多くの学生が入学してきます。
そのため、特にはクラス15人中14人日本人ということも珍しくありません。
2、ダウンタウンの一部の地域
ダウンタウンには多くの語学学校やショッピングモールなどが集まっているため、日本人が集まりやすくなっています。
さらに、留学生やワーキングホリデーの人だけではなく、観光客として訪れている日本人もいるので、ダウンタウンで日本人を見かける機会というのは多くなるでしょう。
3、日本食レストランやラーメン屋など
日本食レストランやラーメン屋などは従業員も日本人であることが多いです。
ヘルシー志向や日本食好きのカナディアンも多く、数多くの日本食レストランがあります。
そういった飲食店では日本食の味付けを理解している日本人が経営していたり、キッチンのスタッフとして働いていることも多く、従業員同士の会話でも日本語が飛び交うシーンをよく見かけます。
日本人が多いことで得られる8つのメリット
では、別の角度から見てみましょう。
それは、日本人が多いメリットです。
「日本人が多いと英語学習の妨げになるのでは」と考える人もいるでしょう。
私も最初はそう思っていましたが、実際にバンクーバーで生活してみると、英語力の伸びと日本人が多いかはあまり関係ありませんでした。
日本人の友達が多くても、英語力がぐんぐん伸びた人もいましたし、日本人を敬遠しても英語力が全く伸びない人をよく目の当たりにしたからです。
英語が話せるようになれるかどうかは、本人の意識や地道な努力の差です。
”英語力の伸び”と”日本人の多さ”を関連づけるのは一度置いておいて、プラスの部分を見ていきましょう!
身近に日本人がいる。
母国語で気兼ねなく話せる同じ国の人がいるメリットはたくさんあります!
1、日本人の友達を見つけやすい
日本人が多いバンクーバーで最大のメリットは、日本人の友達を見つけやすいことです。
心細い海外での生活で恋しくなるのは、やはり母国語の通じる友達ではないでしょうか。
人数が多ければ出会える友達も増えますし、気の合う人も見つけやすいです。
2、日本独自の感覚や文化を理解しているので相談しやすい
日本人の友達が必要な理由のひとつに、日本人の感覚や文化を理解しているので相談しやすいことが挙げられます。
バンクーバーで生活していると、日本との感覚の違いに葛藤を抱えたりすることがあります。
例えば恋愛。
日本とカナダでは恋愛のプロセスも、結婚に対する価値観も違います。
日本の感覚でいくと「それは浮気なのでは?」と思うようなことも、実は当たり前だったり…。
そういった日本とカナダとの価値観の違いに葛藤した際に相談できるのが日本人の友達です。
恋愛に限らず、ビザや永住権に関することなど、日本人であればなんとなく気持ちが分かるし、悩みに共感してもらえることもあります。
3、渡航初期の不安な気持ちや英語に関する悩みを共有できる
渡航初期は、日本人の友達がいることでホームシックや不安な気持ちを少し軽減することができます。
誰でも最初の頃は不安です。
家族や日本の友達から離れて、右も左も分からない言葉も思うように通じない中で母国語の通じる人に出会えると、泣きそうなくらい嬉しくなります。
また、英語の上達に関する悩みや、ワーホリであれば仕事探しに関することなど不安な気持ちを共有したり、情報交換をしたりすることができます。
「ひとりじゃない」
そう思える存在がいることは、想像以上に大きな支えです。
4、ホームシックになりにくい
日本人が多いことで得られるメリット、2つ目はホームシックになりにくいことです。
最初の1、2ケ月は新しい環境に慣れるのに必死で、なかなか日本を思い返すことも少ないでしょう。
しかし、しばらくするとカナダの文化や食事にも少し飽きてきて、日本が恋しくなってくるはず…。
そんな時にバンクーバーでは、日本の物を手軽に手に入れることができ、カナダにいながら日本を感じることができるので、ホームシック対策ができます。
5、日本食を味わえる飲食店が多い
バンクーバーには日本食レストランやラーメン屋など、日本食を味わえる飲食店が数多くあります。
Googleマップで”日本食レストラン”と検索するとかなりの数の飲食店が出てきて驚くほどです。
6、日本の商品が手に入りやすい
バンクーバーには、食だけではなく様々な日本の商品やサービスを取り扱っている所があります。
代表的なものをいくつか挙げると…
●ユニクロ
●無印良品
●ダイソー
●こんびにや
●Fujiya など
この他にもアジア系のスーパーでは、日本の食材や製品も取り扱っているので、日本と比べると割高の値段にはなりますが、ほとんどの物は手に入れられます。
7、仕事や家探しに必要な情報と人脈が見つけられる
バンクーバーに限らず、海外で生活していく際に重要なのが情報と人脈です。
特に、仕事や家探しをする際には情報と人脈が欠かせません。
日本以上にコネ社会のカナダでは、ジョブサイトや家探しサイトなどに情報を掲載する前に、まず身近な知り合いで手頃な人に声をかけていきます。
<よくあるシチュエーション~仕事編~>
日本人Aさんの働いているカフェで突然一人辞めることになり、新しい人を見つけなくてはならなくなりました。
そこでマネージャーはAさんや他のスタッフに
「誰か知り合いでいい人はいない?」と尋ねます。
そこでAさんは知り合いの日本人のBさんが仕事を探していたことを思い出し、マネージャーに紹介します。
そこでAさんからBさんに連絡を取り、Bさんはマネージャーとの面接にやってきます。
その後、採用か不採用かが決まっていくわけですが…。
もちろん、知り合いだから必ず採用されるというわけではありません。
しかし、面接まで進めるのもラッキーな状況で、面接のチャンスや仕事を見つけられることはとても大きなことです。
しかも、日本人の知り合いがもとも働いている環境であれば、事前に職場の雰囲気を知ることもできるので安心です。
<よくあるシチュエーション~シェアハウス編~>
日本人Cさんは日本に帰国する日が近づいており、今住んでいるシェアハウスを退去することになりました。
シェアハウスのオーナーはCさんが退去後、Cさんの部屋を借りる人を見つけ欲しいと頼みます。
※退去する時に次の住人を見つけるように言われることは結構あります
そこで、Cさんは知り合いで引っ越し先を探していたDさんに声をかけます。
Dさんは内見後、その部屋に引っ越すことに決めました。
バンクーバーで難航するのが家探しです。
物件数はたくさんあるのですが、物件そのものに問題があったり、シェアメイトとのトラブルがあったりとなかなかベストな物件を見つけるのは難しいです。
そこで、知り合いや友達の紹介があることはかなりの安心感があります。
これはオーナー側にとっても同様で、見ず知らずの人を住まわせるよりも、少しでも素性の分かる人の方が安心して部屋を貸せます。
8、日本人向けのサイトに情報が豊富にある
バンクーバーで暮らす日本人向けの日本語サイトが充実していることも日本人が多いメリットです。
下記のサイトはバンクーバーにいる日本人留学生、ワーホリの人で見ていない人はいないのではないか。というレベルでよく使われています。
jp canada
JPカナダは、バンクーバーに限らずトロントやビクトリア、ウィスラーなど幅広い地域の情報を掲載しています。
物件や求人情報からECサイト的な役割まで幅広い情報を見ることができます。
e-Maple カナダ
イーメープルはJPカナダに比べると扱う物件数は少ないですが、日本人向けのシェアハウスを多く取り扱っています。
Vancity Room
バンシティールーム(Vancity Room)も物件数は少ないですが、時々好条件の物件が募集をかけていることもあるので、こまめにチェックしておくといいでしょう。
まとめ
日本人率が高いと言われているバンクーバーでしたが、世界と比較してみるとあくまで標準レベルだということが分かりました。
もちろん、環境や場所によって日本人の多さを感じることもありますが、それをプラスに捉えて上手く付き合っていくことがポイントなのではないでしょうか。
ポイント
<バンクーバーは日本人が多いのはホント?>
【結論】
言われているほど日本人率は高くなく、世界的に見ればバンクーバーの日本人率は標準。
しかし、場所や環境によっては日本人が集まりやすい状況もある。
<日本人が多いことで得られる8つのメリット>
1、日本人の友達を見つけやすい
2、日本独自の感覚や文化を理解しているので相談しやすい
3、渡航初期の不安な気持ちや英語に関する悩みを共有できる
4、ホームシックになりにくい
5、日本食を味わえる飲食店が多い
6、日本の商品が手に入りやすい
7、仕事や家探しに必要な情報と人脈が見つけられる
8、日本人向けのサイトに情報が豊富にある