”Anne with an E”日本語タイトル『アンという名の少女』
はモンゴメリー原作の『赤毛のアン』を現代版にリメイクしたNetflix作品です。
あくまでNetflixのオリジナル作品なので、モンゴメリー原作の物語とは展開が異なる部分が多くあります。
原作とは異なる展開に原作ファンからは賛否両論の声が挙がっていますが、いち原作ファンとしては、この作品ならではの魅力があると思います。
今回は、原作ファンでもありNetflix作品のファンでもある筆者が『 Anne with an E 』の5つの魅力を紹介します!
『 Anne with an E 』以外のNetflixでおすすめの洋画はこちらの記事でも紹介しています!
簡単な作品のあらすじ
大まかなあらすじは原作と同じです。
想像力豊かな孤児、アン。
アンを養子に向かえるグリーンゲイブルズで暮らす二人の兄弟、マリラとマシュー。
アンの親友のダイアナ。
などなど、原作に登場するキャラクターはもちろん、この作品だけに登場する新たにキャラクターもたくさんいて、物語の幅を広げてくれています。
原作には登場しなかった黒人の友人、バッシュやメアリー。
カナダの先住民族ミクマク族の女の子、カクウェット。
ジョセフィンおばさんと出会ったことで自分らしく生きられるようになったコール。
彼らとアンの物語も丁寧に描かれているので、そちらも注目です。
たっぷり3シーズン分のアンを楽しむことができる『 Anne with an E 』の魅力を紹介します!
原作と異なるからこそ見えてくる5つの魅力とは?
原作の『赤毛のアン』をご存知の方は、想像力豊かなアンとアンに関わるアヴォンリーの人々の生活が好き。という人が多いのではないでしょうか?
私もそのひとりで、穏やかで愛情に溢れていて、平和的にゆったりと進んでいく展開が好きでした。
でも、Netflix作品となった Anne with an E はエッジの効いた角度からアンを描いています。
もちろん、想像力豊かで夢見がち、おしゃべりなアンという根底は変えずに。
私が Anne with an E を見て感じた原作と異なるからこそ見えてきた5つの魅力を紹介します。
1、美しいカナダの景色
1つ目の魅力はやはりなんといっても美しいカナダの景色でしょう。
原作の舞台でもあり、この作品のロケ地でもあるプリンスエドワード島は、赤毛のアンのふるさととして、多くのファンが訪れる場所です。
独特な赤土と、どこまでも広がる広大な大地。
白樺やリンゴの木が生い茂るのどかな街並みが広がるプリンスエドワード島は、原作で描かれている通り美しい場所です。
それを映像として見られるのもNetflix作品ならではの醍醐味ではないでしょうか。
主演のアンを演じたエイミーベス・マクナルティのインスタにもその雄大な景色が投稿されています。
アンシリーズの公式インスタにもグリーンゲイブルズの舞台となったロケ地が投稿されています。
私もバンクーバー滞在中に一度行ってみたいと思っていた場所のひとつでした。
ただバンクーバーが西海岸にあるのに対し、プリンスエドワード島はモントリオールやトロントなどがある東海岸。
飛行機で片道約8時間。
バンクーバーから日本までの飛行時間レベル(笑)
結局他の都市の旅行に切り替えて、プリンスエドワード島には行けずに終わりました…
プリンスエドワード島の代わりに旅行に行ったのがモントリオール、ケベック、トロント、ナイアガラの滝でした。
中でもモントリオールとケベックは、個人的にもう一度行きたい街ランキングNO1!
『モントリオールで絶対に抑えたい5つのスポット』の記事でその魅力を詳しく紹介しています。
2、当時のカナダの生活や文化がリアルに分かる
2つ目の魅力はカナダの歴史がリアルに分かることです。
原作の物語だけで読んでいるとなかなか見えてこない歴史的背景がまざまざと映し出されているので、よりリアルに19世紀後半のカナダの人々の暮らしを想像することができます。
アンが暮らしていた孤児院も、物語で読むだけでは伝わってこなかった寒々しい雰囲気が描かれていますし、現代ではあまり身近ではない孤児の存在が当時の社会ではどのように扱われていたのかも、作品を通して垣間見れます。
私が特に感じたのは、当時の生活環境に合わせた灯りの演出の仕方の面白さです。
物語を読むだけでは想像しきれない、ろうそくの明かりだけで生活するとはどの程度の明るさなのかをこの作品では忠実に再現しています。
電球の灯りではかもし出せないろうそくや暖炉の炎のはかなげで、少し薄暗い雰囲気が、この作品の味を出していると思います。
食事も決して豪華ではないのですが、素朴で家庭的な味わいだろうと想像できるような雰囲気です。
『赤毛のアン』が描かれた当時のカナダの人々の生活や文化を見られるのも、この作品の魅力のひとつといえるでしょう。
カナダ好きの私にとってはたまらない描写でした。
3、アンとギルバートの恋愛模様
3つ目は、なんといってもアンとギルバートの恋愛模様です。
原作では、アンがギルバートから赤毛をからかわれ、石板で殴ってしまうという『ニンジン事件』以降、かなり大人になるまで口をきかない。という設定ですが、この作品では比較的早く仲直りをします。
そして、仲直りをした後の二人の関係性がなんとも甘酸っぱい!!
お互い好きなのに、決して核心に迫ったことは言わない。
辛い時、悲しい時に必ず傍にいる二人なのに、もどかしい!
シーズン3、本当に物語の後半でようやく二人はお互いの気持ちを確認するのですが、そこに至るまでの二人のやり取りがたまらない!というファンは多いようです。
原作であまり見られなかったアンとギルバートのやり取りにも注目です。
4、現代にも通じる社会問題のリアルな描写
4つ目は少し重い話題。
現代にも通じる社会問題のリアルな描写です。
これは、他の『赤毛のアン』作品と大きく異なるところであり、大きな魅力でもあります。
黒人差別、LGBTQ、言論の自由、女性の権利、ルッキズム、先住民族の同化政策問題など。
かなりディープな問題にも焦点を当て、時間をかけて描写している部分はオリジナル作品ならではの魅力でしょう。
実際に19世紀後半のカナダで存在した問題をアンの世界にも登場させることで、よりリアルにアンの世界を見ることができます。
中には「あまりに脚色しすぎてアンの世界観と全く別のものになっている」といった声も聞こえてきそうですよね。
しかし、現代にも通じる社会問題をアンやアンの身近な人々がどう対峙し、向き合ったのかを見られるのは、このNetflix作品ならではの魅力だと思います。
5、女性の強さ、しなやかさ
5つ目は、この作品が描く女性の強さやしなやかさです。
アンはもちろん、アンに関わる全ての女性がそれぞれの環境でたくましく、そしてしなやかに生きている姿が描かれているのも魅力のひとつです。
特に個人的に好きなのがアンの恩師でもあるステイシー先生。
原作では、才色兼備のアンのメンター的存在として抽象的に描かれているステイシー先生ですが、この作品では、オリジナルの設定も加えながらステイシー先生の過去や心境についても深く切り込んでいます。
堅苦しい、古い考え方が残るアヴォンリーの街や学校に新しい画期的な風を吹かせるだけではなく、生徒思いでひとりひとりと心の通い合わせるしなやかな女性として描かれているのも、この作品ならではの魅力です。
そして、ステイシー先生に死別した夫がいるという設定。
ただ才色兼備なだけではなく、大きな悲しみも抱いている。
だから人の痛みや悲しみに深く共感ができる。
愛しい人と別れてただ嘆き悲しむだけではなく、時に思い出しながら今をたくましく、美しい物に目を向けて生きようとするステイシー先生のキャラクターが私は大好きです!
あとは原作では偏屈だけれどユーモアのあるダイアナの叔母、ジョセフィンおばさん。
このオリジナル作品では、シーズン2のエピソード7でジョセフィンおばさんが愛する人が男性ではなく、女性であったことが明らかになっています。
物語の要となる部分で必ずアンやアンの友人を助けてくれるジョセフィンおばさんの悩みや葛藤を丁寧に描いている部分も見ごたえがあります。
この作品を観る時には、アンだけでなく、アンに関わる女性の映し出し方にもぜひ注目してください。
まとめ
Netflixオリジナル作品、Anne with an Eの原作と異なるからこそ見える5つの魅力について紹介しました。
原作を知っている人も知らない人も楽しめるアンの世界をぜひ楽しんでください!