今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、いろいろな人が何かを諦めたり変更したりせざるを得ない状況になっていますよね。
私もそのひとりで、就労ビザを取得していたカナダのスタバからコロナ解雇され、日本に帰国することになりました。
今回は、コロナ解雇にあって明らかになった就労ビザが不安定な3つの理由を紹介します。
実は就労ビザがとても不安定な3つの理由
以前、カナダで就労ビザを取得するメリットやデメリットについて紹介しました。
しかし、今回コロナ解雇をされたことで、就労ビザのリアルな弱点や不安定さを身に染みて感じました。
そう感じた3つの理由を紹介します。
1、スポンサーである雇用主に振り回される
就労ビザは、数あるビザの中でも自分の意思だけで申請ができないビザのひとつです。
自分が就労ビザを取得したいと思っても、スポンサーとなってくれる雇用主がいなければ、そもそもの申請すらできません。
私の場合は、マネージャーのサポートを得られたので就労ビザを取得することができました。
しかし、それは裏を返すと、スポンサーである雇用主の都合に振り回されやすいということです。
もちろん、不当な理由での解雇やnotice(事前通知)なしの解雇といった違法なものは通用しませんが、お店の経営が悪化して、従業員を雇用し続けられなくなったという正当な理由の解雇の場合、従業員は何もできません。
今回、私がコロナ解雇をされたことも、法的な違法性はなく、経営悪化による解雇という正当性がありました。
そのため、弁護士に相談しましたが「どうすることもできない」と言われた次第です。
2、事前通知されても次の仕事が見付からない現実
マネージャーに解雇通知を送られた私の就労ビザは効力を失います。
雇用主限定の就労ビザなので、別のスタバで働きたくても、また新たにそのお店で就労ビザを申請し直さなければいけませんでした。
ただ、後ほど紹介しますが、カナダのスタバの経営状況は最悪。
バンクーバーのダウンタウンにあったスタバもどんどん閉店していました。
もちろん、次の仕事を見つけるために解雇通知は事前に出されるのですが、現在の状況で何の資格もスキルもない私が次の仕事を見つけるのは極めて困難でした。
ちなみに、カナダ政府の公式サイトのIf you lose your jobというトピックを見ると、次のような記載がありました。
If you lose your job
Government of Canada Temporary foreign workersより参照
Your employer has to give you advance noticebefore firing you or laying you off from your job. This is to give you time to look for a new job before being out of work.
(日本語訳)
意訳
もし失職したら
雇用主は実際に解雇する前に事前通知をしなければならない。
これは、従業員が職を失う前に次の仕事を見付けるためである。
これが通用するのは、あくまで次の仕事が見付けられる時。
私の場合は、次の仕事が見付かる可能性もなく、日本に帰った方がまだ仕事を見付けやすいだろうということで、帰国するしかありませんでした。
3、スキルがないと次のスポンサーを見つけられない
もし、コロナの影響がなかったとしても、特別なスキルがないとスポンサーを見つけられません。
スタバのような飲食店で就労ビザを取得するのが難しいと言われる最大の理由が、このスキルの問題でしょう。
バリスタや飲食店の従業員は特別なスキルがなくても働ける職種なので、就労ビザを発行してまで外国人を雇用すべきかという点で疑問が残ります。
むしろ、私が就労ビザを取得できたのは、本当にラッキーだったと思います。
やはり、就労ビザを取得するからには、それに見合った経験や「あなたじゃないとできない」と言わせるような特別なスキルが必要なのです。
就労ビザは期限内でも取り消される?
そもそも、様々な審査を通って発行された就労ビザが、期限前に取り消される(失効する)ことはよくある話なのでしょうか?
雇用主から解雇されると就労ビザは失効する
ワーホリビザがオープンワークパーミット(基本的にカナダ国内のどこでも働ける)であるのに対し、就労ビザはクローズドワークパーミット(ビザに記載されている雇用主、職場でのみ働ける)のため、雇用主から解雇されるとその就労ビザは失効します。
そして、次の新しい職場で働く場合には、その職場で働くための新たな就労ビザが必要です。
コロナの影響で北米スタバ業界は大打撃
今回カナダのスタバから解雇されたのは、私だけでないのはカナダのスタバの経営状況を見れば分かります。
カナダのスタバがコロナでどの程度打撃を受けたのか、簡単にまとめました。
1,400店舗中200店舗が閉店へ
CBCニュースによると、シアトルに拠点を置くスタバ本社は、2年後までに200店舗のストアを閉店すると発表しました。
現在、カナダには約1,400店舗のスタバがありますが、その内の200店舗が閉店となると、全体の15%が今後2年間でなくなることになります。
これは、コロナ後で経済が元に戻ったとしても実施されます。
もちろん、世界的には新しいストアをオープンさせる予定があるとしていますが、北米市場は規模が縮小される見込みです。
ライセンスストアももれなくダメージを受ける
私が働いていたスタバはホテルの中にあるライセンスストアでした。
ライセンスストアとは?
フランチャイズとは少し違うビジネススタイルで、スタバの商標を使っているが、ライセンスを持っているホテルやスーパーなどがビジネス上のオーナーになる。
カナダには2019年時点で、432のライセンスストアがあります。
ライセンスストアは、ビジネスオーナーであるホテルやスーパーの経営が悪化すると、もれなくその影響を受けることになります。
コロナの影響で、バンクーバーの稼ぎ時といわれる夏の観光客は激減。
ホテルの稼働率は、例年であればほぼ100%のところ、わずか2%まで落ち込みました。
私のお店に来るお客さんの7割はホテルの宿泊客や従業員だったため、売り上げはどんどん落ち込んでいき、経営を続けていくことも厳しいということ。
そこで、マネージャーからメールで”申し訳ないけれど、君の就労ビザのサポートを続けることはできない。日本でキャリアを築き直してください”と連絡がありました。
その後、改めてメールで解雇通知が来て、私の就労ビザは失効となったわけです。
海外で生き残るために必要なのはビザとスキル
ビザがないと国にいることすらできない
私が今回の件で学んだのは、海外で生きていくためには1にも2にもビザが必要だということです。
ビザがなければその国に滞在することすらできません。
観光ビザや学生ビザなどいろいろなビザがありますが、海外で生活するためには働けるビザでないと収入が得られませんよね。
英語力よりも海外でも通用するスキル
海外で生活するためには、英語力は欠かせません。
しかし、長期的に海外で生きていこうとした時には、英語力よりもスキルが必要だと、私は身をもって知りました。
看護師や介護士といった医療や福祉の資格や、WEBやITといったテクノロジー関連のスキルがあるのは、海外で生きていくための大きなアドバンテージになります。
まとめ
いろいろな人がコロナの影響を受けたことと思いますが、その中でも特に留学やワーホリなど、海外に挑戦しようとしていた人たちではないでしょうか。
これからのことはどうなるか分かりません。
私は今日本にいますが、今は充電期間と捉えて、次のステップに進むための能力や財力をしっかりためようと思います。
今できること、やれることは、思っていたことと違うかもしれませんが、それがどこでつながるか分からない。
一刻も早く、コロナが終息することを願ってやみません。