ワーホリや留学などでカナダに来て戸惑うことや困ることはいろいろとありますが、中でも一番心細く感じるのが体調を崩した時ではないでしょうか。
私はワーホリでバンクーバーに来て半年を過ぎた頃、ある症状に襲われてバンクーバーの病院を受診しました。
普段は英語環境でもがんばれたとしても、体調が悪い時は、もはやその気力さえもなくなってしまうものです。
今回はそんな万が一、カナダで体調を崩して受診しなければならなくなった時に役立つ情報を紹介します。
私がカナダで病院を受診するに至った経緯や、心細い私の背中を支えてくれた医療通訳の方との出会いを紹介しながら、カナダでも・バンクーバーでも安心して医療を受けることができることを伝えられたら嬉しいです。
風邪程度の症状であれば、カナダのドラッグストアで風邪薬を購入することが可能です。
こちらの記事でカナダの風邪薬事情を紹介しているので、あわせてご覧ください。
カナダで謎の発疹に襲われる!?症状の原因は?
ちなみに私は日本で病院を受診したことはほとんどありませんでした。
「寝れば治る」
がスタンスで、インフルエンザぐらい高熱でどうしようもなくなったら受診する程度。
それがワーホリで来たバンクーバーで病院のお世話になるとは全く予想していませんでした。
なぜ、健康優良児だったはずの私が病院を受診することになったのか。
まずはその経緯を少し紹介させてください。
謎の発疹が出始めたのはカナダに来て半年経った頃
カナダに来て半年を過ぎた頃、朝晩になるとなぜか体中に赤い発疹が出るようになりました。
特にアレルギーがあるわけでもなく、食事や何か草花に触ったわけでもありません。
ただただ痒くて夜も眠れないほどでした。
その当時は3つの目のシェアハウスに引っ越したばかり。
私は1年半のカナダ生活で4回引っ越しをしています。
それについては別の記事で詳しく紹介しています。
「ベッドが悪いのでは?」
カナダにはベッドバグ(Bedbugs)、日本でいう「トコジラミ/南京虫」が多く、一度刺されると激しい痒みやアレルギーを引き起こすことがよく知られています。
最初は私もベッドバグな気がしたのですが、日中になると赤い発疹も痒みも消えるのです。
痒いのは朝晩だけ。
もしベッドバグならずっと痒いはずです。
「おかしいな」とは思いながらも、スタバのオープニングシフト(当時は朝4時起きで仕事に行っていました)が始まったばかりだから体が慣れないだけだと思い、気にはなりながらも特に対処しませんでした。
2か月経過観察するものの…
その後2か月経過観察を行ったのですが、一向に回復する様子はなく、むしろ悪化していきました。
痒みが出るのは朝晩だけなのですが、あまりに痒くて掻いてしまうので、体中傷だらけ。
朝晩ずっと体をひっかいているので、なんだか日中も痒い気がしてしまう。
さすがにストレスに感じ、真剣に症状について調べ始めました。
よくある蕁麻疹かと思い、日本から持参した塗り薬を付けてみたのですが、効果はゼロ。
看護師の友人がいたので見てもらうと、発疹系はしっかり受診しないと原因や効く薬などは分からないということで、彼女の紹介で病院を受診することにしました。
受診を決意!海外保険に加入しておいてよかった!
たまたまその友人がバンクーバーの語学学校で医療通訳のコースを選択していて、バンクーバーの病院事情に詳しかったこともあり、病院はすぐに見つかりました。
海外で病院を受診しようとすると、日本の保険は効かないので、高額の医療費が請求されることはご存知の人も多いですよね。
私は通常の医療費(歯科治療を除く)なら無制限で全額カバーしてくれる海外保険に加入していたので、バンクーバーの病院を受診するのにお金の心配をしなくて済んだのは不幸中の幸いでした。
原因の分からない発疹、痒み。
ネットで症状で検索すると「原因不明の病」とか「難病」だとか、さらに不安を煽るような答えばかりが出てきて不安。
そんな時に、お金の心配までしなければならなかったら、正直もっと辛かったと思います。
海外保険に加入しておいて良かった。
保険業者の回し者ではなく、心からそう思います。
バンクーバーで医療通訳のいる病院を受診するまでの流れ
なぜ医療通訳がいる病院を選んだの?
カナダで半年過ごし、仕事で毎日のように英語を使っていたら、生活に必要な英語力は身に付いていましたし、基本的なコミュニケーションはこなせるようになりました。
しかし、自分の体調や症状を英語でしっかりと伝え、かつ医師が説明する医療英語をきちんと理解できる自信はありませんでした。
なじみの薄い医療英語を勉強してから受診するわけにもいかないですし、そもそもそこまで元気がありません。
幸い、バンクーバーには医療通訳をしてくれる日本人スタッフのいる病院があり、医療通訳で助けてくれることも友人からの紹介で知っていたので「こういう時はプロに頼って助けてもらおう」と甘えました。
電話予約していざ診察!
友達が教えてくれた病院を検索し「日本語での電話対応OK」と書いてある番号に電話予約をしました。
その時に聞かれたことは
・主な症状
・海外保険に加入しているか?
・希望の予約日時
ぐらいで、受診する時には加入していた海外保険の証明書を持参しました。
病院に行くと、入り口を入ったすぐの所に「医療通訳を希望される方はこちらから」という日本語の案内があり、ベルを押すと日本人のスタッフさんがすぐに対応してくださいました。
日本人専門のクリニックではないので、病院の受付はイングリッシュスピーカーの方います。
「日本人のスタッフさんに予約を取ってもらった者です」
と伝えると、その呼び鈴を押すように案内してくれました。
海外保険の証明書を渡し、記入するようにと渡された用紙に名前や住所、既往歴などを記載して5分も待たずにすぐに診察室に通してくれました。
診察室で少し待っていると、先ほど案内してくださった医療通訳の方とドクターが入ってきて診察が始まりました。
日本だと医師が自分の処置室にずっといて、患者はその部屋に通されて診察しますが、この病院の場合はドクターがそれぞれの処置室に移動する式のようで、ドクターはラップトップ片手に入ってきました。
ドクターは”Hi! Nice to meet you!“と入ってきましたが、「病院で会えても私はあんまり嬉しくない」とひそかに突っ込んでいました。(笑)
発疹の症状や、症状が出始めた時、その他に気になることはないかといった質問がドクターからあり、医療通訳の方が質問も私からの答えも通訳してくれました。
ドクターはかなりベテランのようで、私の返答と症状を少し見てすぐに薬を処方してくれました。
薬を処方されると、病院では薬を受け取ることができず、日本と同じように薬局に行かなければならないのですが、この病院では薬をデリバリーしてくれるシステムだったので、私は薬の到着を待つだけよかったので、診察そのものはとても楽に終わりました。
結果良くならなず再診予約へ
その後、処方された薬を飲んで経過を観察したのですが、あまり効果はなく良くならなかったので、再度電話をし、再診予約をしました。
前回の受診の時に医療通訳のスタッフの方から「発疹は原因が分からなかったり、治ったと思っても後から出てくることがあるから、いつでも相談してくださいね」と声を掛けてくれていたので、迷わず再診予約ができました。
些細な疑問にも親切に教えてくださる方たちばかりで(複数人いる日本人スタッフの方、ほぼ全員にお世話になったと思います)本当に安心できました。
ちなみに「薬の入っているボトルの蓋はどうやってあけるの?」も聞きました。
カナダの薬の入っているボトルの蓋は、乳幼児が誤飲しないために、一度上から押しながら回さないと開きません。
知らないと、ひたすらがんばって回しても開かない!とかなり焦るんです(笑)
私が受診した日本語の医療通訳スタッフがいる病院
メインランドクリニック
私がお世話になったバンクーバーのダウンタウンにあるメインランドクリニック。
ダウンタウンのイェールタウンにあるので、アクセスはかなり良いです。
日本人のスタッフさんが数名常駐していて、優しく丁寧に対応してくださいました。
私は発疹の件で数回通院し、毎回違うスタッフさんに対応していただきましたが、どの時も症状をしっかりヒアリングして通訳してくれて、ドクターの専門的な説明も日本語でしっかりとかみ砕いて伝えてくれました。
日本人の患者さんを見かける機会も多く、バンクーバーで暮らす日本人にとって欠かせない医療機関だと思います。
住所:1061 Hamilton St. Vancouver , BC V6B 5T4
電話(日本語):604-339-6777
公式HP:Trans Med
原因が分からずクリニックからアレルギー専門医へ
発疹の症状が一向に軽快せず、むしろなんとなく悪化しているのでは?
という状態になり再診を予約することになった当時の私。
「難病だったらどうしよう」
「入院するってなったらどうしよう」
と普通だったら考えないようなことも、気が弱っていると考えてしまうものですよね。
ドクターと医療通訳の方の勧めもあり、アレルギー専門科で原因を探るべく精密検査を受けることになりました。
最速で予約できるのが1ヶ月後!?
私が受診した病院はカテゴリーでいうと”ウォークインクリニック”といって、内科とか眼科といった専門はなく、全ての症状を診察してくれるいわば病院の入り口です。
カナダではファミリードクター制が採用されており、それぞれの個人に決まったかかりつけ医がいます。
ただ、ワーホリや留学などで一時的にカナダに滞在している人にはかかりつけ医がいませんよね。
そのためにあるのがウォークインクリニックです。
患者が自身の症状から勝手に判断し、専門科を受診することはできず、必ずウォークインクリニックに紹介状をもらってからでないと専門科に受診できないようになっています。
しかし、私を診察してくれたドクターいわく、アレルギー専門医の予約が取れるのが最速で1ケ月後とのことで、発疹の原因が分かるのにはしばらく待たなければいけませんでした。
医療通訳の方も同行!専門医での受診
アレルギー専門医に受診する際は、医療通訳の方も同行してくださって、受付から診察まで全てサポートしてくださいました。
私がやったことは、海外保険の手続きに提出する書類にサインするぐらい。
あとは、ドクターの診察時に聞かれたことに答えて終了。
行くまではドキドキでしたが、医療通訳の方がいてくださったので本当に心強かったです。
採血をして詳しい原因を調べることに
アレルギー専門医で簡単な診察を行ってもはっきりした原因は分からなかったため、採血を行うことになりました。
ただ、採血は同じ施設内では行っておらず、採血を行っている施設に移動しなくてはいけませんでした。
医療通訳のスタッフさんとその場所まで移動し採血をすることに。
日本でもあまり注射が得意な方ではなかったので緊張しましたが、採血をするスタッフさんが
Are you coming from Japan?
(日本から来たの?)
I’ve been to Kyoto once!
(1回だけ京都に行ったことがあるわ!)
と雑談しながら採血してくださったので、リラックスして臨むことができました。
※採血は4本採ったのですが、全く痛くなかったです!
結果:アレルギーやストレスではなく免疫の過剰反応
数日後、結果を聞くために再度アレルギー専門科を受診。
結果はアレルギーやストレスではなく、体内の免疫細胞が過剰に反応してしまったことによる発疹でした。
ウイルスや細菌が体内に入ってきた時に、体を守るために働く免疫細胞が戦うのですが、ウイルスや細菌がいなくなっても攻撃モードのままでいたため、発疹となって出てしまった。
と医療通訳の方が解説してくださいました。
特別な治療が必要ということはなく、発疹や痒みの症状が出た時にそれを抑える飲み薬と塗り薬を処方されて治療は終了しました。
その後帰国してからもたまに発疹が出ることもありますが、今はだいぶ気にならなくなりました。
海外で病気になって気付いた3つのこと
ここまでは私がバンクーバーの病院を受診した体験談を紹介してきました。
ここからは私がこの経験を通して気付いたこと、感じたことを紹介します。
1、医療通訳の方がいるって心強い!
1つ目は医療通訳の方がいるって心強い!
特に私の場合は通常の受診から専門医の受診まで、全てに付き添っていただいたので、感謝もひとしおです。
私の発疹の原因は「免疫細胞が過剰反応してしまったことによるもの」でした。
これ、英語で説明されても絶対理解できない自信があります。
なぜかというと、日本語でも難しいから。
医療通訳の方は看護師や薬剤師といった、医療関係の方が多いです。
もちろん、しっかりと医療や医療通訳の勉強をすれば素人にもできるかもしれないですが、やはり充分な医療の専門知識がないと正しく情報を訳すことができません。
慣れない海外で医療通訳の方がいるのは、思っている以上に心強いものです。
本当に感謝です。
2、海外保険、超大事!
2つ目は、海外保険、超大事!
私が今回通院したのは合計で4回。
ウォークインクリニックに2回。
アレルギー専門科に2回。
この全ての診察とそれぞれで処方された薬代、全て加入していた海外保険でカバーしもらい、直接的な支払いは1ドルもしていません。
医療通訳の方の通訳や同行に関しても保険適応内でサポートを受けることができました。
これがもし保険に加入していなかったとしたら。
ちょっと考えただけで恐ろしい額がかかったのだと思います。
海外保険、超大事です。
3、医師の診断が解決、治癒への近道
3つ目は、医師の診断が解決や治癒への近道ということ。
私は発疹や痒みといった症状が出始めてから2か月経過観察をしました。
それでも回復しなかったので受診しましたが、正直もっと早く受診すればよかったという思いもあります。
経過観察をしている間もずっと痒かったですし、何より不安はどんどん大きくなりました。
自分で症状をネット検索したり、友達に相談したりしてもはっきりとした答えは得られず、不安ばかりが膨らんでいく。
医師の診断を受けることで、症状に適した薬を処方してもらえることは日本もカナダも同じです。
健康を保つことも海外生活には欠かせないことですよね。
元気でないと仕事もできないし、英語を話す気力すら薄れてしまう。
海外保険に加入しているのであれば、その保険を活用するのも賢い手段だと改めて痛感しました。
まとめ
私が謎の発疹と痒みに襲われてバンクーバーで受診した体験談を紹介しました。
私の場合、そこまで重病でもなく、しっかりと原因と対処療法を見つけてもらうことができました。
それができたのも優しく、親切に接してくださった医療通訳のスタッフの方々や、現地の医療関係者のおかげです。
海外で体調を崩すと、病院に受診することが高いハードルに感じてためらってしまいますよね。
しかし、カナダの病院にはそんな人たちに寄り添ってくれる人的、物理的環境があります。
ぜひ、カナダで体調を崩した際は、安心して医療機関を受診してくださいね。
もちろん体調を崩さず、元気でいることが一番です。
しかし、万が一の時に備えて頭の片隅に入れておいてくださいね。
ポイント
<海外で病気になって気付いた3つのこと>
1、医療通訳の方がいるって心強い!
2、海外保険、超大事!
3、医師の診断が解決、治癒への近道