カナダでワーホリで働いていた職場から「このまま継続して働いて欲しい」と言われて、そのまま就労ビザを取得するという話は意外とよく聞かれます。
私も、ワーホリで働いていたバンクーバーのスタバで、就労ビザを取得した経験があります。
残念ながら新型コロナウイルスの影響を受け、現在は日本に帰国しています。
そちらの体験談は別の記事で紹介しています。
今回は、私がワーホリビザから就労ビザに切り替えた経緯と、無事に取得するまでのプロセスを体験談として紹介します。
就労ビザを取得したいと思ったきっかけ
私は、2018年11月からワーホリでバンクーバーに来ました。
ダウンタウンのスターバックスで採用され、初めは語学学校と仕事を掛け持ちしていたので、パートタイムで働いていました。
その後、縁あって就労ビザを取得することになったのですが、私がカナダで仕事を見つけるまでの経緯については、別の記事で紹介しています。
カナダに永住したい!永住権申請のため
私が就労ビザを取得しようと思ったきっかけは、カナダに永住したい!という思いでした。
よくコモンロー(事実婚)でパートナーがいる人が永住権を取得しますが、私にはそういったパートナーがいたわけではありません。
ただ、カナダでもっと暮らしてみたい。
日本にいる自分よりもカナダにいる自分の方が好きだったから。
カナダで暮らす人たちの価値観や感覚、社会のあり方などに共感する分が多く、日本で暮らす将来よりも可能性を感じたから。
というかなり感覚的で主観的な理由です。
永住権を申請するためにはいろいろな方法があるのですが、その当時の私にとって最も現実的だった方法が、就労ビザを取得してカナダで就労経験を積むことでした。
私にとって就労ビザはゴールではなく、あくまで永住権申請をするためのスタートにすぎませんでした。
まだまだカナダでやりたいことがあった
就労ビザを申請したいと思った別の理由は、カナダでやりたいことがまだまだあったからです。
細かいことをあげるとキリがないですが、1番は旅行です。
ワーホリでカナダに来て、カナダ国内やアメリカにも旅行に行きましたが、正直お金と時間の関係で、行きたいと思っていた場所の半分も行けずにいました。
ワーホリは期間が一年もあるので、きっといろいろな所に行けるだろうと思っていましたが、旅行に行くにはお金と時間がかかるんですよね(当然…)
滞在期間を延長するだけなら、ワーホリビザから観光ビザに切り替えることもできるのですが、観光ビザの場合稼ぐことができません。
そこで、働きながらもう少し滞在して、旅行に行きたい場所をコンプリートしたい!と思ったのが就労ビザを申請しようと思ったきっかけです。
ワークライフバランスが最高だった
Last but not least…
何よりもワークライフバランスが最高だったことです。
私はオープンシフトだったため、昼まで働いたらその後は全て自分の時間でした。
<当時の私のおおまかな一日の流れ>
4:20 起床
4:45 出勤(職場まで歩きながらバナナやシリアルバーで補食)
5:00 始業(オープン作業をバリスタと2人で行う)
5:30 オープン
※途中にブレイクがあるので、そこで朝食
12:00 午後のシフトに引き継ぎをして終了
※ランチタイムで忙しいので12:00にはあがれず、大体12:30頃
ここまでで仕事は終了です。
午後はまるまる私の時間です。
13:00 帰宅・昼食
友達と会ったり勉強したり、洗濯や昼寝など
17:00 ジムやランニング
18:00 シャワー
18:30 晩ごはんの支度・夕食
夏は海岸沿いを散歩したりNetflixを観たり、家族と電話など
22:00 就寝
朝が早すぎて昼寝をしないと夜までもたない。
という難点もありましたが、プライベートの時間がたっぷり取れるというメリットの方が強かったです。
ちなみに月の給料は、大体2,000~2,300CAD(約16万~約19万)と、決して多くはありませんでしたが、生活していくのには十分でした。
私は日本で社会人として6年間働いており、収入としてはもちろん当時の方が多いです。
しかし、朝から晩まで、休日も関係なく働き続ける生活は決して幸せではありませんでしたし、仕事のために生きているような感覚でした。
収入よりも人間らしく自分の生活をしっかり確保できる、それが当たり前で特別なことでないカナダの雰囲気にも惹かれました。
就労ビザ申請から取得するまでの長いステップ
1、そもそもビザコンサルタントが決まらない
<ビザコンサルタントとは?>
カナダは移民国家で、多くの人がそれぞれの目的でビザ申請を必要としています。
しかし、ビザ申請は複雑なので個人で申請することが難しい場合もあります。
そこで、ビザコンサルタントやエージェントと呼ばれるビザ申請を代行してくれる代行業者がカナダには多くあります。
カナダのビザ申請や法律に精通している専門家で、個人で申請するより正確で確実に手続きを進めてくれます。
こういったコンサルタントを利用する場合、申請代行のための手数料が発生し、その金額は申請するビザの種類や業者にもよりますが、高い所だと数十万かかる場合もあります。
就労ビザの申請を自分で行うことも考えたのですが、複雑なシステムや申請に関する手順を英語で完璧に理解することは想像以上に難しい。
しかも、もし間違えた場合、もう一度最初からやり直さなければならなかったり、最悪の場合申請そのものができなくなるリスクもあります。
そこで、私はビザコンサルタントを利用することにしたのですが、なかなか巡り合えず。
始めの頃は、日本人のコンサルタントに依頼するつもりでした。
しかし、日本人のコンサルに行くと「スタバで就労ビザ申請は難しいし、前例がない」「永住権も考えているなら、ケアギバー(介護士やベビーシッターなど)の方がいい」となかなか納得のいく答えが得られませんでした。
そこで、私のマネージャーから彼も利用した韓国人の女性ビザコンサルタントを紹介してもらいました。
やり取りは全て英語になりましたが、分からない所は聞けば分かりやすい言葉に言い換えて説明してくれましたし、複雑な部分も理解できるように繰り返し教えてくれたりと、とても信頼できる人だったので、彼女にお願いすることにしました。
なにより心強かったのが、私の状況を理解して、ビザ申請にとても前向きになってくれたことです。
また、様々な国籍の人のビザ申請を無事に成功させてきた経験もあり、安心して任せることができると確信しました。
2、まず超えなくてはならないLMIAの壁
就労ビザ申請には2つのステップがあります。
1、LMIA(Labour Market Impact Assessment)の審査
LMIA(Labour Market Impact Assessment)では、雇用主の適性や経営状況などをチェックします。
カナダ労働省がLMIAの審査を行い、外国人労働者を雇うことでカナダ人の雇用が脅かされないかどうか、妥当性を判断します。
<LMIAの主な審査内容>
● 外国人労働者を雇用する正当性
● ポジションや能力など採用の妥当性
● 雇用主がカナダ人を採用しようと努力したか
● 雇用主に外国人労働者を雇用する適性があるかどうか など
2、IRCC(カナダ移民局)の審査
LMIAの審査が通過すれば、次はIRCC(カナダ移民局)による申請者(この場合、私)の審査になります。
英文の履歴書やパスポート、その当時所持している有効なビザなどを提出すれば、ここは特に大きな問題はありません。
就労ビザを取得するためのスタートラインである、LMIAの審査。
最初にして最大の難関です。
まず、本格的な手続きに移る前に、ESDC(カナダ労働省)が認定するカナダの求人サイトに、求人広告を1ケ月以上掲載する必要がありました。
今回の場合、求人内容は、私が採用される予定の『フードスーパーバイザー(時間帯責任者)』のポジション。
これを1ケ月以上掲載し、正式にカナダ人の採用努力をしたことを証明しなければなりませんでした。
つまり、LMIAの申請をするためには、広告掲載のための1ケ月という準備期間が必要ということです。
3、申請中にワーホリビザが期限を迎える
広告サイトへの求人広告の掲載も無事に1ケ月掲載し、LMIAの申請が始まりました。
ここからの手続きは全てコンサルが私の代わりに行ってくれます。
LMIAに関しては、ESDC(カナダ労働省)と雇用主であるマネージャーとのやり取りになるので、私にできることはほとんどありませんでした。
そんな中、申請中に私のワーホリビザの期限が迫っていました。
ワーホリビザは延長の手続きができないため、『就労ビザの手続きが申請中である』という橋渡しのビザの手続きが必要になりました。
この手続きを行うことによって、ワーホリの期限が切れてもカナダで合法的に滞在し、就労することが認められます。
しかし、このビザはあくまで就労ビザが発行するまでの仮の手続きです。
カナダ国外に出てしまうと、戻って来た時の入国審査で『ビザ無し』とみなされるため、正式な就労ビザが発行されるまで、カナダ国内にいることが条件になります。
ちなみに、この橋渡しビザは紙の証明書がないので、心もとなさがありました。
しかし、日常生活でビザのステータスを確認されることは全くなかったため、事情を説明する必要すらありませんでした。
カナダ国外から戻って来る時だけ問題になるだけで、国内にいる場合はそこまで気にすることではなかったようです。
4、LMIAの審査が通過したのは申請から約4か月後!
橋渡しビザを取得(?)した後は、ひたすら待ち続けました。
そして、LMIAの申請をして3ケ月経った頃に、カナダ労働省からマネージャーあてに電話インタビューがありました。
インタビューが無事に終了し、その1ケ月後、ようやくLMIAの審査通過の結果を受けました。
5、LMIA審査通過してから正規の就労ビザが届くまで約2ケ月!
LMIA審査に通過した後は、次はIRCC(カナダ移民局)の審査に移ります。
コンサルタントには「IRCCの審査はそんなに手間はかからないから」と言われていましたが、LMIAの審査が終わって、IRCCの審査に移ったはずなのになかなか返事は来ず。
結果、正規の就労ビザが届くまでに、約2ケ月かかりました。
就労ビザ申請には時間とお金がかかる
就労ビザの申請には、時間とお金がかかります。
具体的にはどのぐらいかかるのか、私の事例を参考に紹介します。
時間
下記は、実際に私の就労ビザ申請から取得までにかかった期間と時系列です
2019年8月 LMIA審査のため、求人サイトに求人広告を掲載(1ケ月間)
2019年9月 求人広告を掲載しつつ、LMIAを申請する
2019年12月 カナダ労働省からマネージャーあてにインタビュー
2020年2月 正式に就労ビザを取得!
ビザの申請から取得までかかった期間
=約6か月
費用
私の就労ビザの申請にかかった費用は、ビザコンサルタントの代行手数料やIRCCの申請費用なども含めて、合計で約22万円です。
確かに安くはない金額ですが、業者によってはもっと高い金額を設定しているところも多いです。
私の場合は、マネージャーの知り合いのコンサルタントだったということもあり、かなりの良心価格で助けていただきました。
ビザが手元に来るまで不安な私の気持ちを察して、一つ一つの手続きが進めば、逐一報告をくれる心遣い。
ビザの申請が100%上手くいく補償もないですし、時間ばかりが過ぎていくことに焦って、いろいろな質問をメールしまくっても、嫌な顔ひとつせずに丁寧に答えてくれる。
私にとって、この代行手数料はむしろ安すぎるぐらい、手厚くサポートしていただきました。
結果、無事に就労ビザも取得できたわけですし、無駄なお金とは思っていません。
就労ビザを申請するにあたって大切なこと
就労ビザの申請から取得まで経験してみて、お金や時間も大切ですが、それ以上に大切だと感じたことは雇用主との関係です。
私が就労ビザを取得できたのは、私のマネージャーが私以上に就労ビザの取得にとても前向きで積極的だったからです。
もし、彼の理解やサポートがなければ、そもそも就労ビザの申請すらできませんでした。
就労ビザが他のビザと大きく違う点は、自分で申請できないことです。
自分ひとりでどんなにがんばって申請しようとしても、雇用してくれる雇用主がいなければスタートラインにすら立てません。
就労ビザは雇用主が雇用を約束してくれることによって、申請のステップに進むことができます。
だからといって、必要以上に雇用主の顔を立てたり、ご機嫌伺いをする必要は全くありません。
その人が職場に必要な人であれば、ド新人を雇ってイチからトレーニングするよりも価値があると認めてサポートしてくれるはずです。
まとめ
今回は、私の体験談をベースに、カナダでワーホリから就労ビザを取得するまでの長い道のりを紹介しました。
外国人がカナダで暮らす時に常に付きまとうビザ問題。
頭を抱えることも多いですが、様々な手続きやビザのシステムについてなど、ワーホリでいる時には知らなかったことまで学ぶことができ、今となってはいい経験です。
これから就労ビザの申請を考えている人のイメージ図になれば幸いです。